CHICHICASTENANGO
チチカステナンゴ
(Iglesia de Santo Tomás, Chichicastenango)
ポポル・ブフの故郷、チチカステナンゴに行きました。 写真はサント・トマス教会。
ヒメネス神父が
ポポル・ブフ の原本となるチチカステナンゴ写本を目にしたと
言われるサント・トマスの僧院は教会の右翼にあります。 チチカステナンゴ地方博物館を含め、写真を中心に チチカステナンゴを紹介して
いきます。
(訪問日 2010年11月20-22日)
チチカステナンゴへ Hacia Chichicastenango
![画像](01.JPG)
(Desviación hacia Chichicastenango)
イシムチェ遺跡から幹線道路に戻り、ケツァルテナンゴへ75Km の標識の所で右へ分岐し チチカステナンゴへ向かいます。 右側の片側1車線
の道です。
![画像](02.JPG)
![画像](39.JPG)
(Restricción de tráfico para los días de mercado)
チチカステナンゴに近づくと、木曜・日曜の6時-19時にトレーラー乗り入れ禁止の標識。 (この時間帯にはチチカステナンゴで市場が開かれ
ます。) そして間もなく街の標識も。
![画像](03.JPG)
(Entrada a Chichicastenango)
チチカステナンゴは海抜 2000mを超える高原地帯にあり、街の入り口辺りには長閑な田園風景が広がります。 スペイン人が入る前は
チアバルとかチビアルと言う名で呼ばれたカクチケル族やキチェ族が暮らす街でした。
![画像](43.JPG)
(Flor de Chichicaste)
チチカステナンゴは「チチカステの生える土地」の意味で、長いので短く「チチ」の愛称で呼ばれます。 チチカステはイラクサの一種で
トゲに触れると水疱ができ痛痒くなる毒草です。 写真に撮りたかったのですが、駆除されて近寄れる所にはなく、やっとウタトゥランの
廃墟の上のチチカステを遠距離から撮りました。
![画像](04.JPG)
(Vista aérea de Chichicastenango por GOOGLE EARTH)
GOOGLE EARTH で見たチチカステナンゴ。 多少画像が粗いですが、教会やホテルは確認出来ます。 南側から街に入り、右上の赤枠で囲んだ
台形がホテル・サント・トマス、左下の矩形がサント・トマス教会と僧院です。
![画像](05.JPG)
(Mapa de parte central de Chichicastenango)
ホテルで貰った街の見取り図に、通り名を付し、ホテル、教会、博物館を
■ で示しました。
ホテル・サント・トマス Hotel Santo Tomás
![画像](06.JPG)
(Hotel Santo Tomás)
これがホテル・サント・トマスの外観。 左側の陰になっている道が7番街(7a. Avenida)で、入り口はこちら側。
![画像](07.JPG)
(Corredor que rodea el patio)
ホテルの内側には中庭があり、中庭を取り巻く回廊にはアンティークの家具や彫刻が配され、とても雰囲気のある造りです。
![画像](08.JPG)
(Patio del hotel con muchos pericos)
中庭には噴水が配され、昼間は色とりどりのインコが放され、宿泊客の目を楽しませてくれます。 夜は少し騒々しいですが、
マリンバ楽団の演奏も。
![画像](09.JPG)
(Guacamayos coloridos)
中庭を散歩する大型のインコ。 夜間は鳥小屋にしまわれるようです。
室内の写真がありませんでしたが、コロニアル風の部屋で、申し分のないホテルです。
でもレストランはちょっと。
とにかく遅いし、高いうえにサービスも良くないので、個人的にはお勧めしません。 街に出れば多少みすぼらしくても、
安くて親切で味もそこそこのレストランがあります。 レセプションは親切で、ウタトゥラン観光の車を紹介してくれました。
サント・トマス教会 Iglesia Santo Tomás
![画像](10.JPG)
(Iglesia Santo Tomás, Sábado en la tarde)
ホテルで昼食を済ませ(ホテルでの唯一の食事でした)、お目当てのサント・トマス教会へ。 市場のある日曜日を前日に控えた土曜の昼下がり、
まだ人気の少ない教会でした。
![画像](11.JPG)
(Excalinata exterior)
チチカステナンゴは 1470年のウタトゥランでの内紛までは、カクチケル族が居を構えていて、その後カクチケル族が去ってキチェ族が
入りました。 教会はマヤの時代の神殿の上に建てられ、円形の階段は当時のピラミッドを流用していると言う話もあります。
![画像](12.JPG)
(Altar sagrado para la gente Maya)
教会の扉の中はカトリックですが、階段はマヤの信仰を奉じる人たちの祈りの場。
教会は東西に細長く、階段のある入り口は西側で、写真撮影は陽の当たる午後に限ります。
![画像](13.JPG)
(Convento de Santo Tomás y su patio)
教会内部は祭壇を含めて全て撮影禁止です。 これは宗教ですから、止むを得ません、(撮影OKの教会もありますが)。 と言う事で
教会を出て写真の中庭へ。 中庭は上の GOOGLE EARTH の画像で教会の南側に確認できます。 中庭を東西と南で囲むのが僧院の建物です。
![画像](14.JPG)
(Galería del Convento)
1688年に新大陸に赴任したヒメネス神父はここサント・トマスの僧院でポポル・ブフの原本 チチカステナンゴ写本を見出します。
1701年頃の事とされます。 中庭の東側に面して僧院の扉があり、横の壁面に大理石の銘版が嵌め込まれていました。
![画像](15.JPG)
(Reconocimiento)
「ここチチカステナンゴの僧院で18世紀初頭、ヒメネス神父がポポル・ブフを見出して翻訳した。」 とあります。 僧院に入ってみたい
ところですが、扉はクローズ。 この扉を通ってヒメネス神父は教会へ、或いは中庭へと歩き回っていたでしょう。 今から 300年少し
前のことになります。
![画像](24.JPG)
(Iglesia Santo Tomás, vista desde su patio)
中庭から見上げた、教会正面の十字架です。
地方考古学博物館 Museo Arqueológico Regional
![画像](41.JPG)
(Entrada al Museo Arqueológico Regional)
小さな地方博物館ですが、ポポル・ブフ関連の展示があるのか関心がありました。 場所は地図で一番左の
■ で、日曜市場の為に露店の準備が進み、注意しないと通り過ぎてしまいます。
![画像](42.JPG)
![画像](17.JPG)
(Entrada y Piedra de San Francisco el Alto)
入り口の左側の台の上に石造物がのせてあります。 チチカステナンゴから 40Km程西の San Francisco el Alto からのもので、「おそらく先古典期
後期」 と書いてあるのに 400BC - 850AD では理解に苦しみます。 この石造物は外に面しているので写真を撮っても良いと、でも中は撮影禁止
との事。 ポポル・ブフ関連だけは写真を撮りたいとお願いすると、薄謝で人間関係が成立、館内を点灯してくれました。
![画像](20.JPG)
(Portada de Popol Vuh, versión 1927)
と言う事で、これが展示ケース内に置かれていた チチカステナンゴ写本(ポポル・ブフ)の表紙で、Guatemala 1927 とあります。 ヒメネス神父
が書き写し、西語訳をつけた手書きの原本は
ニューベリー
図書館 で保管されており、これは活字化された別物です。
![画像](21.JPG)
(Preambulo de Popol Vuh)
ヒメネス神父の手になる写本を発見し仏語訳をつけて 1861年に出版にこぎつけたのがブラッスール・ド・ブルブール神父で、ヒメネス神父
の西語訳より正確とされます。 更にレイノー版(仏語)が 1925年に出版され、その西語訳が 1927年に出版されたのがアストゥリアス /
ゴンサレス版です。
展示品は 1927年となっていますが、アストゥリアス / ゴンサレス版ともヒメネスのオリジナルとも異なるようで、
著者名として J. ANTONIO VILLACORTA とあり、独自にグアテマラで作られた本のようにみえます。 写真は有名な序章のページです。
![画像](18.JPG)
(Exhibición en el Museo)
ついでに少しだけ他の展示も。 翡翠製品、石器、土器等いろいろありますが、展示方法、説明はいまひとつです。
![画像](19.JPG)
(Pectoral dorado)
金を打ち出した胸飾りもありました。 水の神チャークがモチーフのようです。
![画像](23.JPG)
(Maqueta de Iglesia y Convento)
博物館の展示は入って右側ですが、左側にはパネル展示があり、奥にサント・トマス教会の模型がありました。 上の写真で教会入り口の
右手前で広場に面した細長い建物の中央付近がこの博物館、下の写真で教会右側の中庭を取り囲む建物が僧院です。
チチカステナンゴの市場 El Mercado de Chichicastenango
![画像](25.JPG)
(Venta de textiles)
木曜と日曜日にはチチカステナンゴの中心部で露天市場が開かれ、周辺部から人々が集まり、観光客と一緒になって、市内は大変な賑わいを
見せます。
![画像](37.JPG)
(Venta de textiles)
市場は周辺に住む人たちの為の日用雑貨と観光客用の土産物が入り混じり、カラフルな織物が目を引きます。
![画像](30.JPG)
(Telas coloridas)
織物屋さんに頼んで写真を撮らせて貰いました。
![画像](31.JPG)
(Demostración del uso de tela)
「 こうやって使う、写真を撮りなよ 」 と。 それならもう少し笑ってくれてもいいのに恐い顔。
![画像](26.JPG)
(Venta de artesanía)
サント・トマス教会前から南の5番街。 マンハッタンの5番街とは少し雰囲気が違います。
![画像](27.JPG)
(Venta de utensilios)
この辺りは一般の人の為の日常の生活用品です。
![画像](28.JPG)
(Abastecimieno al estómago)
そして胃袋の心配も。 お馴染みのトルティーリャです。
![画像](32.JPG)
(Iglesia en el dia de mercado)
サント・トマス教会の階段前も人々で混み合います。
![画像](33.JPG)
(Iglesia, Domingo en la tarde)
市場も午後になると少し人が減って混雑も一段落。 西からの陽光を浴びて、青空バックに白亜のサント・トマス教会が一段と
映えます。
チチカステナンゴ市内 Ciudad de Chichicastenango
![画像](40.JPG)
(Municipalidad de Chichicastenango y su escudo)
チチカステナンゴのお役所でしょうか、町の紋章の付いた建物がありました。 紋章にはポポル・ブフの文字も。 POPOL VUH
は POP WUJ と綴られます。
![画像](35.JPG)
(Capilla de Calvario)
これはサント・トマス教会の 100m位西になる カルバリオ礼拝堂。
![画像](36.JPG)
(Arco en 5a. Avenida, salida hacia norte a Santa Cruz de Quiché)
5番街を北へ行くとアーチがあり、町の入り口です。 キチェ族が終焉を迎えた
ウタトゥラン(クマルカーフ)遺跡 は、このアーチをくぐり サンタ・クルス・デ・キチェを目指して行きます。
チチカステナンゴのページはこれで終わりです。
ポポル・ブフの詳しい解説は
こちらで。