EL MIRADOR
マヤ遺跡探訪
EL MIRADOR
先古典期に既に繁栄期を迎えていたエル・ミラドール。 マヤ発祥の地とも言われ、今最も関心を集めているマヤ遺跡 かもしれません。 有名なティカルも起源は先古典期にまで遡るようですが最盛期は8世紀、エル・ミラドールの最盛期は 紀元前3世紀です!

遺跡はメキシコ国境に近い密林の中で、一帯は国立公園に指定され、豊かな生態系が守られています。 この為道路は整備されて おらず、遺跡に行くだけで まる2日のジャングル・トレッキングが必要となり、1日の遺跡見学でも 往復4日を加えると 5日間の旅程、訪問は難しいと思っていましたが…。

インターネットでヘリコプター・ツアーの案内を見つけ、今年のマヤ旅行で何とか訪問を実現できないものか、コンタクトして みました。 すんなり決まった訳ではありませんが、先方が何とか同行者を集めてくれ日本出発直前にツアーが成立、 めでたく下の写真のヘリコプターに乗り込む事に。   ヘリ・ツアーの主催は Mirador Park です。

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   (訪問日 2010年11月28日)
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 (Helicóptero Bell 407 en el helipad de Flores)

どんなヘリコプターか多少不安もありましたが、写真の通りピッカピカ。 ロールスロイス社製ターボエンジン搭載、コックピットは デジタル化された最新型、パイロットを含め7人乗りの中型ヘリコプター Bell 407 でした。 これはご機嫌です。

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 (Isla de Flores y escena en el camino a El Mirador)

エンジンを始動すると直ぐに斜め上方へスムースに離陸、フローレス島(写真左)を眼下に見下ろし、緑の樹海の上を高度 500m で 飛行、一路エル・ミラドールへ向います。 巡航速度約 250Km、遺跡まで直線距離 100Km位ですから、30分程で着いてしまいます。

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 (Cumbre de Pirámide La Danta )

機内では会話用のヘッドセットを付け、カメラを抱えてガイドさんの説明を聞きます。 「下にラ・ダンタ ピラミッドが見えます!」   緑の樹海が盛り上がり土色をしたピラミッドの頂上が見え、慌ててカメラを構えてシャッターを押します。

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 (Pirámide El Tigre, y La Danta a la derecha al fondo)

ラ・ダンタが一番高いピラミッド、そして2番目がエル・ティグレ。 ヘリポートはエル・ティグレの南側で、エル・ティグレを 回り込む形で降下します。 写真左のこんもりした小山がエル・ティグレ、ラ・ダンタは写真右奥に少し霞んで見える小山です。

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 (Helipad en El Mirador)

写真左が ヘリポート、ここに着陸です。 快適な空の旅でもっと乗っていたいような気もしましたが、ここはもう目的地 エル・ミラドール、はやる心を抑えて機外へ。 陸路だと2日間大変な思いをして到着するところが 30 分! まずは体力 消耗ゼロで到着です。

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 (Sitio de Camping)

ヘリポートからキャンプへ。 道の両側に野営用のテントが並びます。 エル・ミラドールは毎年調査隊が入り、 考古学者に補助員、作業員を含めると 400名からの大所帯になり、現在マヤ遺跡で行われている調査の中で最大規模だそうです。

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 (Sitio de trabajo para arqueologos y centro de visitante)

左は調査隊が発掘した遺物を並べておく一時的な展示台で、さらに進んでいくと右の写真の開けた場所に出ます。 右奥の 木の下にある建物がキャンプの食堂で、ここでミネラルウォーター他を補充して、いざ遺跡へ出発。

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 (Rotulo de El Mirador)

遺跡の看板は広場を挟んで食堂の反対側にあり、ここが出発点。 他の遺跡と共通の文化・スポーツ省による看板で、こんな秘境の 遺跡まで、と思いましたが、何と1年で 3000人もの見学客があるそうです。 毎日10人近い人が来るのであればもう秘境とは 言えませんね。

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 (Panel de explicación con la ilustración del sitio)

看板は良いとして、看板の奥に地図と説明がプリントされたものが掲げてありました。 こちらはエル・ミラドールらしいと言うか、 手作り掲示板といったところ。 でもこちらの方が重要です。

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 (Panel de explicación con la ilustración del sitio)

説明つきの地図を拡大するとこれ。 この写真では文字は読めませんが 更に拡大すれば充分判読可能で、ここに記されたピラミッドの 高さや年代などは公式見解として参考にさせて貰いました。

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 (Parte central de El Mirador recortado de la ilustración)

上の地図からおよそ方角を合わせてエル・ミラドールの中心部を切り出してみました。 西にエル・ティグレ、東にラ・ダンタの ピラミッドがあり、赤く彩られた無数の神殿群が並びますが…。

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 (La realidad vista desde cielo, Google Earth)

GOOGLE EARTH で空から見ると、実際は全てが緑に埋もれていて、2つのピラミッドの頂上も辛うじてそれとわかるかどうか。  GOOGLE EARTH の画像はクリックで大きくなります。 ラ・ダンタは植生が多少整理されているものの、3.7Km上空からでは 殆ど識別不能。  ティカルのピラミッド群はGOOGLE EARTH ではっきり 確認出来るのですが。(縮尺は異なります)

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 (Caminata sobre Sacbé antiguo)

エル・ミラドールは エル・ティグレのある西のグループとラ・ダンタが中心の東のグループに分けられます。 キャンプは西の グループの西端にあたり、西のグループを横切ってまず東のラ・ダンタを目指します。 写真右の白い壁は西のグループの建造物34で、 これは後回し。

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 (Sacbé hacia La Danta)

西のアクロポリスを出るあたりに、ラ・ダンタ神殿の方向を示す看板がありました。 東西のグループはサクベで結ばれ、 約 1Km 歩くと東のグループです。 サクベ は 20m から 25m の 幅で直線で設けられ、平らにする為に 1m から 3m の高さがあったそうです。 右は現在のサクベです。

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 (Escenas en el camino)

途中には発掘現場もありますが、一面 熱帯雨林の豊かな緑に覆われ、自然を楽しみながら一路東へ向います。

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 (Desviaciones hacia Grupo Guacamaya y hacia el sitio Nakbé)

サクベを半分ほど進むとグアカマヤ(コンゴウインコ)のグループへの分岐点がありました。 見学できるようですが時間が足りません。  更に5分位進むと東のグループの手前にまた分岐点(写真右)があり、右に折れるとナクベ遺跡との事。 片道3時間半ですから 論外です。

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 (Estela erosionada y Altar roto)

ナクベへの分岐点から少し先に 石碑が1本 サクベの真ん中に立っています。 彫刻は認められずただの石柱の様にみえますが、 根元に2つに割れた円盤状の石があり、石碑と祭壇のセットだったとわかります。 密林の中で見通しが効きませんが、ここはもう 東のグループの入口でした。

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 (Parte frontal de la primera plataforma de La Danta)

石碑の先は東のグループ、 「ラ・ダンタのピラミッド複合」 を形成する一段目の基壇の前。 青いビニールシートはこの第一基壇の発掘 現場でした。 第一基壇は 幅 310m、奥行き 590m で、高さは 10m あります。 ビニールシートの前には比較的新しそうに見える 説明板が置かれていました。

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 (Panel de explicación de La Danta)

これがその説明板。 イラストは遺跡の入口にあったものの方が判り易そうです。

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 (El complejo de La Danta, recortado de la ilustración)

イラストからラ・ダンタのピラミッド複合だけ切り出し、説明の為の番号を付記しました。 現在地は  1 で、横に石碑も見えます。  1 の数字の 後ろにあるのが第一基壇で、基壇上西側に多くの建造物が築かれ 後方(東側)の第二基壇へ続きます。

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 (Mampostería de la primera plataforma)

ビニールシートの下を覗いて見ました。 階段の右に大きな仮面の跡があります。 ここはまだ発掘途上で、今後 どのように修復されるのでしょう。 

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 (Subiendo la primera plataforma)

左の手摺りのついた階段を上り第一基壇上に出ます。 イラストとは異なり周り中 木々に囲まれてまた何処が 何処なのかわからなくなります。 右の写真では左右に分岐した道の間に土塁が見えますが、これはどの建物なんでしょう?  ラ・パバのピラミッドはこの辺りなのですが。

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 (Hacia la segunda plataforma)

そして道の右側にも木々に覆われて土塁が現れます。 現在地は第一基壇上のと記された面で、第二基壇に近いところの筈ですが。

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 (Subiendo la segunda plataforma)

そしてまた階段を上り、第二基壇の上、と記された面にでます。  第二基壇は幅 190m 奥行き 240m で、高さは第一基壇と同じ 10m 程です。 第二基壇は第三基壇までの奥行きがあまり無いので 直ぐに前面にある第三基壇を登る階段が見えてきます。

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 (Parte frontal de la tercera plataforma de La Danta)

第三基壇を登る前に、第三基壇の下部が掘り出されているのでここを見てみます。 幅が広いので2枚の写真を合成しました。  上の写真の階段は合成写真の左側で、その右側はビニールシートで覆われていて発掘途上のようです。 発掘修復作業が 進んでいるので1-2年後にはここの景色は一変している事でしょう。

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 (Talud con una mascára recuperado en la tercera plataforma)

第三基壇につけられた木製階段を登り始めると左側に第三基壇の掘り出された基部が見え、写真右下の石の階段脇に装飾の仮面が あります。 

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 (Parte inferior expuesta de la tercera plataforma)

左の写真は上の写真の前方です。 右は上の写真の右側で、階段が掘り出されており、仮面で装飾された壁面の下に 階段が続いていたようです。


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 (Subiendo la tercera plataforma)

さて第三基壇を登ります。 第三基壇は 幅、奥行きが 140m の方形の基壇で、高さは 26m ですから階段も急になります。  早く上が見たくて気がついたら一行の先頭でした。

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 (Templo principal de La Danta)

そして第三基壇を上りきると前面に一番上の神殿ピラミッドが聳えます。 現在地は下のイラストの。 ラ・ダンタのピラミッド複合は第一基壇から第三基壇まで、この主神殿を空高く聳え立たせる為に 積み上げられてきたと言えます。
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                           (Templos en estilo triádico sobre la tercera plataforma)

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 (Templo principal de La Danta)

主神殿にもう少し近づいてみます。 この主神殿は 2005年からの修復作業で、土砂が全て取り除かれており、上の方は表面が 崩れているようですが、一番下は当時の石組みがそのまま残っているように見えます。  主神殿は 幅 40m、奥行き 50m、高さが 24m 。  第一基壇から高さを合計すると 70m になりますが、遺跡入口の地図&説明には 72m とあり、これを公式見解としておきましょう。

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 (Máscara recuperada en parte la inferior del templo principal)

主神殿基部の左隅に仮面が掘り出され、その右に階段が続きます。 手前の平らになっている部分が主神殿が立つ床面のようです。

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 (Máscara recuperada en parte la inferior del templo principal)

上の階段の右側に仮面が左右の耳飾りを含めて丸ごと露出しています。 表面に漆喰彫刻が施されていたのだと思いますが、残って いるのは石で作った下地のように見えます。

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 (Templos laterales del estilo triádico)

中央の主神殿はその前面左右に一対の脇神殿を伴い、この3つの神殿の配置がエル・ミラドールで特徴的な建築様式の Estilo Triadico (Triadic Style) として知られます。 写真左が主神殿に向って左側(北)の脇神殿で、右が右側(南)の脇神殿、 それぞれ 幅、奥行きとも 25m、高さは 13m になるようです。

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 (Esquina suroeste de templo principal)

2つの脇神殿を伴う主神殿の様式はエル・ミラドールで各所に見られますが、それはさて置いて最後の主神殿に登ります。  写真は主神殿の正面から右側で、ここを通り後ろ側に回ると訪問客用に木製の階段が取り付けられています。

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 (Escalera de madera instalada al lado trasero)

これがその木製の階段でかなりしっかり作られており、ヘリコプターからもこの階段が見えました。 さあ、登れ、登れ、です。

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 (Paisaje extraordinario desde cumbre de La Danta)

そしてついに主神殿の頂上。 この眺望、夢にまで見たと言うと少しオーバーですが、自分の目で見てみたいとかねがね思っていました。  今その光景が目の前にあります。  24mm でエル・ティグレのピラミッド方向を撮影しましたが、まだまだこの眺望の広がりを表現するには 不十分。

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 (Paisaje panorámico)

写真を2枚パノラマ合成してみました。 エル・ティグレ方向とその右(北側)の合成画像です。
地平線まで一面の緑で、これが 360度 広がるのですから、写真では尽くせないかもしれません。

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 (Vista de cumbre de La Danta desde helicóptero)
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これはヘリコプターでエル・ミラドールに着く直前に機上からみたラ・ダンタの主神殿。 階段の先に主神殿の平たい頂上が見え、 低木が1本立っていました。 今まさにここにいます。

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 (Una hazaña, foto conmemorativa)

他のツアー参加者と一緒に記念写真を撮りました。 みんな満足そうな面持ち。 背景は北北東の方角で、足元の影は頂上に立つ 1本の木が作り出す木陰です。 頂上まで登り汗ばむ肌にはそよ風とこの木陰が作り出す快適な空間は最高です。

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                             (Marcador de geodésico fechado 1968)

ここで少しエル・ミラドールの歴史を。 発掘調査の途上で正確なところはこれからの調査結果を待ちたいと思いますが、先古典期中期 (1000 - 400 BC)には街の建設が始まり、最盛期は先古典期後期(400 - 50 BC)にあたる 300 - 200 BC で、この時期にイラスト にある壮麗な街が完成し、人口は 8万に達したと言われます。 古典期前期に入る前の 150- 200 AD 頃に街は放棄され、その後、 古典期に再居住の跡がみらるものの活発な建築活動は行われず、古典期終末期には最終的に無人となったようです。

エル・ミラドールの再発見は 19世紀末に遡り、メキシコとの国境策定を含めた地形調査の過程で遺跡が確認され、その後 1940年前後の 考古学者による確認を経て、 1960年代に入り学術的な考古学調査が始まります。 80年代から本格的な発掘調査プロジェクトが スタートし、2003年からは毎年継続的に発掘修復が進みます。

写真の測地点の標識が主神殿の頂上に埋められていました。 1968年と刻印されていて、調査の初期段階にここに置かれた事になりますね。

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 (Pirámide El Tigre en lente 160mm)

主神殿を降りる前にここからしか撮れない写真をもう少し。 これは西正面にあるエル・ティグレを 160mm で撮影したもので、 濃い緑の奥の盛り上がったところがエル・ティグレ、55m 。 ラ・ダンタに次いでエル・ミラドールで2番目に高い建造物です。

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 (Ruinas de Nakbé con lente 640mm)

遠く南東方向にはナクベ遺跡が認められますが、前述の通り歩いて3時間半の距離。 640mm の望遠でやっとこんな感じに 撮れました。

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 (Estructura escavada al pie de tercera plataforma)


ヘリコプターの出発が9時20分頃、遺跡の看板のところから遺跡探索を始めたのが10時40分頃で、ラ・ダンタの ピラミッドを降り始めた今、もう午後1時を回っています。 西のグループにはまだ沢山見所があり、先を急ぎます。

写真は第三基壇を降りてきたところで、多分数字のの横にある建造物 かと思います。

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 (Sacbé sobre primera plataforma)

第一基壇上を西へ、急げ、急げ、なんですが、まだ第一基壇上に見るものが残っていました。

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 (Pirámide La Pava)

鬱蒼と茂る林の奥に大きな建造物があり、発掘途上です。 来る時には気が付きませんでしたが、別の道を通ったので しょうか。 これは第一基壇上の南西角に近いラ・パバのピラミッドで、斜面に沿って階段がつけてありますが、ここは見るだけ。  ラ・パバも上部神殿が3つある3神殿形式です。

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 (Un templo en Grupo Pava)

近くに小神殿が修復されていて、ラ・パバのグループではこちらを案内されました。  中央階段の脇に一対の石彫りの仮面が残されています。 正面からの写真はあまり後ずさりできないので写真を2枚撮っての 合成です、多少歪んでいます。

ここまでが東のグループ、次に西のグループへ行きます。



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 (Recorte de Grupo Oeste de El Mirador)

イラストから西のグループを切り出しました。 まずアクロポリスに入り、石碑を見てから水路にあるポポル・ブフの双子の 兄弟の漆喰彫刻 (Sistema Hidraulico と記されたところ)、建造物313、建造物34、最後にエル・ティグレの ピラミッドの順でまわります。

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 (Hacia Grupo Oeste)

東西のグループを繋ぐサクベを戻ります。 右の写真の左の小路(緑色に見えます)を入っていくと石碑がありました。 多分イラストの 中央に描かれている3本の石碑だと思います。

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 (Estelas en Plaza Central)

遺跡の管理員の人は石碑が2本と言っていて、実際覆いがつけられた石造物は2つでしたが、良く写真を見ると写真右隅には苔むした 石があります。 やはりここが3本の石碑の場所でした。

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 (Estelas en Plaza Central)

石碑は断片でかなり風化しており充分図像が読み取れませんが、オルメカの石造物とは趣きを異にするように見えます。  右の石碑には蛇と鳥の嘴があって…と説明されましたが、今ひとつ良く見えません。 紀元前3世紀頃ですからやはりマヤの 神聖文字は刻まれていません。

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 (Aparecen inscripciones en idioma Zoque ?)

ところがこの画像の右側、三味線のバチのような形をしたところには文字があり、古いソケ語だと言われました。  管理員の人は考古学者ではありませんが、考古学者について一緒に作業したりするようですから、ソケ語云々は 学者さんから聞いたものでしょう。 エル・ミラドールがソケ語を起源に持つ文化だったとすると、これまた興味深い 事実です。

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 (Tomando sendero hacia sistema hidráulico)

サクベに戻り今度はサクベの反対側に分け入ります。 この辺りは建造物が入り組んでいるようで、あちらこちらに発掘中を 示すトタン屋根やビニールシートがあります。

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 (Area de sistema hidráulico cubierto con un techo plastico)

そして土塁の間の小路を辿って更に進むと、前方に大々的にビニールシートで覆われた発掘現場が見えてきました。  水路で発見された漆喰彫刻がここにあるそうです。

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 (Construcciones en el area de sistema hidráulico)

それ、あのポポル・ブフの光景が描かれた漆喰彫刻の!  見たかったんです。  ラ・ダンタからの眺望と、もうひとつ是非 見たかったのが、2008年に発見され 2009年の世界の十大考古学的発見のひとつとされる、ポポル・ブフの一シーンが 描かれた漆喰彫刻。 それが目の前にあります。

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 (Magnífica decoración en estuco)
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漆喰彫刻は水路に沿った壁にあり、二段の壁に分かれ、下段は幅8mに及び特に左側は素晴らしい状態を保っています。 壁の下が 水路で、貴重な雨水を溜めてプールに流し込む為のものだったそうです。  ポポル・ブフ ではマヤの創世神話が語られ、 フン・アフプとイシュバランケの双子の兄弟が冥界に赴き、冥界の神々を滅ぼし父親達の敵を討って、それぞれ 太陽と月になります。

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 (Hunahupú e Ixbalanqué en una condición increíble)

これがフンアフプとイシュバランケ。 右のフンアフプが取戻した父親の首を背中に括りつけて冥界から戻るところと解釈されて います。 彫刻は紀元前 200-300年頃のものとされ、エル・ミラドールの芸術性の高さも然る事ながら、キチェ族に伝わった マヤ創世神話の起源がなんと 2200年以上昔に求められると言うのは驚き以外の何物でもありません。

2010年のプロジェクトでは、この漆喰彫刻の保存作業と併せて恒久的な屋根の構築が検討されているようです。 何はともあれ、 この発掘されたばかりのエル・ミラドールの芸術を目にする事が出来、またカメラにも収められて、大感激でした。


その後この漆喰彫刻がどうなっているのか気になっていましたが、最近行かれた方から写真を提供頂きましたのでご紹介しておきます。  2015年4月の写真です。 この場を借りてお礼申し上げます。

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 (Ultima situacion de la decoracion en estuco en Abril 2015)

漆喰彫刻のエリアをカバーする巨大な屋根が取り付けられました。 光を通す立派なものです。 フン・アフプとイシュバランケが描かれた帯の上の段も 補修が進んでいて、鳥人間のような彫刻が修復されていますが、ブクブ・カキッシュでしょうか。



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 (Hacia Estructura 313)

西のグループに入った途端に、ソケ語の石碑や見事な漆喰彫刻を目にし、テンションが上がりましたが、まだ見所があります。  水路から戻り、また細い道を辿っていくと建造物313に出ました。 ここもアクロポリスの中です。

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 (Mascarón de Estructura 313)

一層目を登ると大きな仮面が残されますが、ここは屋根に覆われていないので、苔か黴で大分変色しています。 漆喰彫刻 ではなく直接石灰岩を彫ったもののように見えました。 最初にこの仮面を見ていれば少しは感動もあったでしょうが、水路の 漆喰彫刻の後では程ほどです。

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 (Estructura 34, Templo Garra de Jaguar)

次はエル・ティグレのピラミッドの麓にある神殿34、 ジャガーの鉤爪の神殿として知られます。
左の写真にある階段は右の 想像復元図にある正面階段の一部が掘り出されたもののようです。 神殿の建造は 200-150 BC とされますが、実はこの神殿の下に 400-300 BC の古い建造物が埋まっています。

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 (Detalle de ilustración)

階段横に扉があり、扉の先は発掘された地下神殿に繋がっているそうです。 地下神殿を飾った装飾仮面にはまだ赤い彩色が残り、 説明パネルにそのイラストがありました、写真左です。
神殿の名前になっているジャガーの鉤爪ですが、仮面 の耳飾りの外側にジャガーの鉤爪があり、パネルにあるイラストで確認できます。

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 (Estructura 34, Templo Garra de Jaguar)

説明はさて置き階段を登ってみます。 これが建造物34、ジャガーの鉤爪の神殿の、仮面がある上部です。  鉄骨を組んで屋根をつけた本格的な保護の覆いが設置されています。 仮面の細部は下の写真で。

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 (Mascarones de Este y Oeste)

仮面は太陽・ジャガー神の姿をした王か貴族と考えられ、残念ながら顔の部分は不完全ですが、耳飾りの辺りを中心に部分的に オリジナルに近い状態が回復されています。 神殿は北向きに立っているので階段左(写真左)が東、階段右が西になり、 東は死者の様相で、西は生気に満ちた顔になっていて 太陽の運行を示しているとの事ですが、実際現地にある実物からはその表情は よくわかりませんでした。

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 (Templo lateral de Estructura 34, y la puerta que conduce a la estructura subterránea)

この神殿もエル・ミラドールの3神殿様式で、脇神殿を伴い、写真左は西の脇神殿です。 右の写真の階段脇の扉が地下神殿に 通じる扉でした。

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 (Pirámide El Tigre)

予定の最後はエル・ティグレのピラミッド。 ジャガーの鉤爪の神殿のすぐ隣ですが、時計を見るともう3時20分を回り、 予定より1時間は遅れているようです。 ツアー・リーダーから「エル・ティグレに登りたいか」と聞かれ、女性1名は脱落、 若者と2人で大急ぎで登る事になりました。 リーダーはキャンプの食堂へ戻って昼食の用意、我々は遺跡の管理員に導かれ 最後の登攀です。

現在地は X 印、ここから登攀開始! 右の写真はピラミッドを登り始めたところで、密林の中の急坂を登って行くような 感じです。

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 (Templo principal de El Tigre)

エル・ティグレのピラミッドは、幅 140m、奥行き 145m、高さは 55m となっていて、ラ・ダンタの第三基壇とその上の神殿を 足したサイズにほぼ匹敵します。 違うのは階段で、ラ・ダンタでは木製の階段がピラミッドの上に取り付けられ、謂わば 踏み台の上を登っていくのに対し、エル・ティグレではピラミッドの上に直接階段が切り込まれていて、ピラミッドその ものを登っていきます。

半分以上登ったでしょうか、踊り場に出て一息つきます。 最初の基壇を登り終えたところで、この基壇上に主神殿と脇神殿 がふたつ建てられていて、目の前に聳える小山(写真)が主神殿になります。

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 (Templos lateral-iqzuierdo y principal)

左の土塁が左側(南)の脇神殿で、右側半分に切れた土塁は主神殿です。 植生がかなり整理されていますが、 建造物を覆う土砂は取り除かれていません。

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 (Templo lateral-derecha y plaza rodeada por tres templos)

写真左は右側(北方向)にある脇神殿で、ここは表面の土砂が取り除かれ石組みが顔を出しており、発掘修復に着手されている ようです。 右の写真は3つの神殿が取り囲む小広場で、主神殿を登り始めたところから撮りました。

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 (Foto aerea de la cumbre de El Tigre)

これは到着時に空から撮ったエル・ティグレの頂上。 今目指すのはこの一片の地面です。

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 (La Danta observado desde cumbre de El Tigre, lente 24mm)

そして今自分の足でこの地面を踏む事が出来ました。 午後の太陽を背に浴びて東にあるラ・ダンタ ピラミッドを望みます。  最後にまた大きな感動です。

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 (La Danta observado desde cumbre de El Tigre, lente 105mm)

一枚上の写真は 24mm で撮影しました。 この写真は 105mm で、ラ・ダンタで木陰を提供してくれた小木も写っていて、何だか 懐かしい気持ちになります。 このまま夕暮れまで過ごしたい気分になりますが、リーダーから「直ぐに戻ってこい」との お達し、感動の余韻に浸っている余裕はありません。 

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 (Regresando al centro de visitantes y almuerzo !)

結局 エル・ティグレは登り降りを含め 12分間の駆け足訪問で、キャンプに帰り着きます。  そしてキャンプで遅い昼ご飯。 こんな僻地に来ているのに暖かい食事にギンギンに冷えた白ワインまて用意され、また 至福のひと時、満足感たっぷりで会話も弾みます。

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 (Despedida a El Mirador)

まだ帰りたくない、そんな気持ちが強いですが、日帰りツアーでもう帰る時間、ヘリコプターに乗らなくてはなりません。  でもたった一日でエル・ミラドールをこれだけ見れたのですから充分満足すべきでしょう。

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 (Puesta del Sol vista desde helicóptero)

出来ればエル・ティグレから見たかった西に沈む夕陽。 ヘリコプターから見ることになりました。 この日の入りが5時21分、 フローレスのヘリポートに着陸したのは5時25分でした。

2010年マヤの旅で最後の日に実現したエル・ミラドール訪問、どう締めたらよいのやら、でもこの夕陽が全てでしょうか。

現地では発掘修復作業が継続しており、これからも新しい発見が期待されます。 遺跡の景色も修復された建造物で どんどん変っていくことでしょう。 出来ればまた行ってみたいものです。
そして陸路行く4泊5日のエル・ミラドールツアー。 途中の遺跡も幾つか回れるようで難行苦行でしょうが こちらも魅力です。  (^-^;



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