マヤ遺跡探訪
MUYIL
トゥルムの南の海岸沿いにユネスコの世界自然遺産にも指定されているシアン・カーン自然生物保護区が広がります。

保護区の総面積は 5280㎢ に及び、110Km もの海岸線を持つ広大な地域ですが、大半が湿地であり大きなマヤ遺跡はありません。 代わりに20を 超える小規模な遺跡が点在し、その中で一番大きなものがムイル遺跡という事になるようです。

ムイル遺跡は保護区内の最北部にあたり、カンクンからおよそ 150Km 、トゥルムからは約 20Km 南になります。
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   (訪問日 2004年8月23日)
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 (Señal de Chunyaxche = Muyil)

トゥルムから国道307号をそのまま南へ行くと、国道沿いに遺跡の看板が見えてきます。 看板はムイルではなく、 CHUNYAXCHE (チュンヤシュチェ?) の名前になっていますが、同じ遺跡を意味し、両方とも近くの湖沼の名前から とられています。

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 (Zona de caseta de servicio de Muyil)

国道沿いの駐車場で車を停めると直ぐ遺跡の入口があります。
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  (Plano del sitio de Muyil)

遺跡に入ると案内板がありますが、こちらはムイルが主になっていました。 ムイルの方が短くて 覚え易いですね。 チュンヤシュチェ? 舌を噛みそうです。
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ムイルに関しては資料が殆ど無いので、現地の案内板を加工して地図を作りました。 トゥルムから降りてくると 国道の左手、東側に遺跡が広がります。

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国道東側の保護区はグーグルの空からの画像では一面緑で覆われますが、辛うじてムイル遺跡は確認出来ました。
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 (Plaza de la Entrada)

それでは遺跡探索開始です。 これは入って直ぐの 入口の広場 です。 この広場にはピラミッド形式の建造物が合計10あり、ここで街の政治、 祭事が執り行われたようです。

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 (Estructura 7H-3, a la derecha)

崩れた石造りの建造物の中に屋根がついた部分があって低層の建造物が残っています。 遺跡の案内板によると、 これは建造物 7H-3 になります。

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 (Estructura 7H-3)

建造物 7H-3 の後ろと右横にも大きな石造りの建造物がありますが、かなり崩れています。 ムイルでは先古典期に 既に居住が始まりますが、石の建造物が作られたのは古典期に入ってからで、現在遺跡に残る建造物は殆どが後古典期のものになるようです。
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  (Estructura 7H-3)

低層の建造物 7H-3 は後古典期の典型的な東海岸様式で、後古典期になってからピラミッドの前に築かれた神殿 のようです。 入口の天井は無くなっていますが、2本の柱が残っています。

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  (El interior de Estructura 7H-3)

2本の柱の奥に行くと、部屋がひとつあり、北向きの入口にはマヤブルーの彩色が残されていました。

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  (El interior de Estructura 7H-3)

中の部屋を覆う外側の建物には、2本柱の正面入口の他に中の通路の両側(東西)にも入口がありました。 写真左のブルーの彩色は 上の写真と同じものです。

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 (Estructura 8I-13, El Castillo)

建造物 7H-3 から東に向かうとムイルで一番の見所になる建造物 8I-13 カスティーヨがあります。 高さ 17m とキンタナロー州北中部海岸地帯 では一番高いマヤの建造物で、 他に例を見ない独特な形状をしています。

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   (Estructura 8I-13, El Castillo)

カスティーヨに近づいて正面からです。 五層のピラミッドの上に円形の塔がありますが、始めに三層のピラミッドと上部神殿 が築かれ、後から二層追加されて塔が付けられました。

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 (Estructura 8I-13, El Castillo)
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北西側から撮ったカスティーヨです。 最初に作られた三層は側壁に切り込みの入ったグアテマラのペテン様式をしており、 現地の説明板には特に時期が記されていませんが古典期後期に遡るものかもしれません。 
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  (Lado posterior de El Castillo)

裏に回ってみました、東側です。 四層目の部分に庇のついた大きな開口部があり、この中に初期の神殿があります。   二段目の裏側に簡単な梯子がかけてあり、ここから登れますが、高い所にある梯子で高所恐怖症の人には 薦められません。

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  (Templo en la cuarta plataforma del lado posterior)

登ってみると、ありました、漆喰の残った古い神殿で、上部壁面の左右にサギの漆喰彫刻があります。  ここからは副葬品と思われる翡翠や 改正の装身具が大量に見つかっているようです。

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  (Decoración estucada de Garza en la fachada del templo)

左側のサギのクローズアップです。 自然豊かなシアン カーンに相応しい装飾です。  長い嘴と頸がサギの特徴を良く現しています。

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  (Estructura 8I-13, El Castillo)

もう一度下から見上げてみました。 五層の上に築かれた円形の中空の塔は、マヤの聖なる木、セイバのように、 トゲのような突起があるそうですが、よく見えませんでした。 円い塔は土製の香炉を模した物のようです。

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  (Camino hacia Estructura 9K-1)

まだ他にも訪問できる所があるようで、写真のような森の小道を進んでいきます。 手前の石は崩れた建造物の ようで、これを踏み越えて…。
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 (Lado posterior de Estructura 9K-1)

石組みの上の神殿が見えてきます。建造物 9K-1、9号神殿の南側背面になります。

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 (Parte frontal de Estructura 9K-1)

北側の正面に回りました。 三層のピラミッドの上に神殿があり、崩れた2本の角柱の上に庇がついています。
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  (Templo superior de Estructura 9K-1)

階段を登って、神殿の正面です。 典型的な東海岸様式で、後古典期の建造物です。  逆光で神殿の中が真っ暗ですが…。

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  (El interior de Templo superior)

神殿の内部です。 始めにこの内部の部屋が造られ、後から一回り大きな建造物で覆われたようです。  窪んだ鴨居の部分は東海岸様式で、入口周りには漆喰上の彩色が残っていました。

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  (El interior de Templo superior)

内側の神殿の左側です。 入口の広場にある建造物 7H-3 とそっくりの造りでした。

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  (Una plataforma en frente de Estructura 9K-1)

9号神殿の正面に、四方にステップのついた、十字型をした基壇があります。  9号神殿を中心にしたグループは地図にあるように、低い壁で覆われており祭事を司る場所だったようです。

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  (Estructura 9K-23 ?)

遺跡の案内板によると更に北に建造物があり、行ってみました。  階段の左右に小さな神殿様の建物が残りますが、これが地図にある建造物 9K-23 でしょうか?

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  (Pequeño templo al lado de escalinata)

左側の小神殿です。 東海岸様式ですが、修復されておらず、説明板もなかったので詳しい事はわかりません。  地図の経路に沿って、入口の広場の方に戻ります。
以上でムイル探索は終わりですが、やはりカスティーヨが一見の価値ありでした。   古典期後期にはペテン地方の影響を受け、古典期終末期あたりから、コバ、そしてチチェン イッツァ、更にマヤパン、と大規模センターの 支配の下、交易の要衝として栄えた場所だったようです。


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